Voices vol.8は再び福島県双葉郡から。

震災被害中心地の双葉郡。そこでご縁を頂いた教育復興の現場を今日はご紹介させてください。Vol.2でご紹介した高校の立ち上げに続き、小中学校を中心とした立ち上げと連携に際し、深く協働させていただきましたこちらのおふたりです。

●浪江町立なみえ創成小学校・中学校 初代校長(現 福島県教育庁 相双教育事務所管理主事)半杭千歩氏 
●福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会 事務局(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構)清野幸恵氏

Vol.1とVol.4でご紹介した浪江町との関わりは、浪江町民全体の絆再生のためのIT事業でした。仮設住宅や避難先のご家庭を訪問してのインタビューにもよく出かけましたが、そこで出会うのは大人たちが中心でした。「子どもたちは大丈夫だろうか」という気持ちがずっとぬぐいきれない中、まだ町民がほとんど居ない浪江町に小中学校が新設されました。そこに強い危機感を持ち、魅力ある学校づくりをしていかなければという思いを持っておられた半杭校長。ともに学校魅力化事業に関わらせて頂くことができたことが本当に嬉しく、いまだにその事業は続いています。また、双葉郡教育復興ビジョン推進協議会の清野さんとは、それらの小規模学校の子どもたちや先生を繋いで作り上げるFUTABA 1 DAY SUMMER SCHOOL(双葉郡中高交流会)という一大イベントで毎年ガッツリタッグを組んでいる同志です。


平成29年3月末に浪江町に対する避難指示の一部解除が行われ、平成30年4月に浪江町内に町内全域を学区とするなみえ創成小学校・中学校を新設校として開校しました。開校当初は原発事故による避難の長期化で、帰町する子育て世代の住民が極めて少数で学校は小学生8名、中学生2名の極小規模校でした。

新しい学校では地域の人々と学校の目標やビジョンを共有し、「多様な個性」を積極的に認め、一人一人の状況に応じて、その力を最大限に伸ばすために必要な教育の実践など、地域と一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校づくり」が求められました。

また、極小規模校が故に、少人数のよさを生かし、先生方が子ども一人一人をよく理解し一人一人に応じてわかりやすく指導できる反面、次のような課題がありました。
・多様な考えに触れる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少ない
・運動会など集団教育活動に制約がある
・次期学習指導要領への対応が必要(アクティブ・ラーニング、英語教育、ICT等)
・特別な支援を必要とする児童への全校体制での対応が必要

学校を核とした新たな町づくりにおける課題を抱えていました。

さとみんとの出会いは開校の年の第1回運動会で、これを見に来ていたさとみんにご挨拶したのが最初でした。さとみんは当時、浪江町の住民をつなぐタブレット事業に関わっていたと記憶しています。また、ふたば未来学園では「哲学対話」という新たな視点を取り入れた教育課程の編成やその具体を追究した授業実践のコーディネートをされていました。ふたば未来学園でも取り組もうとしている「哲学対話」は、道徳の教科化やアクティブ・ラーニングなどで、子ども達に自ら考えてコミュニケーションしようとする能力を身につけさせようとする取り組みです。これはグローバルな人材を育成するにあたって最も大切な視点であり、本校においても「主体的・対話的で深い学び」や「地域や社会に貢献する人材育成」「他者理解や異文化理解」「コミュニケーション能力の育成」「考え、議論する道徳」などの分野で特に力を入れていく必要があると考えていました。

さとみんはふたば未来学園や双葉教育復興ビジョンでの取り組みにも実績があり、授業設計アドバイザーとして、私たちと協働による授業設計というスタンスで関わっていただき「なみえ創成小中学校ならではの魅力ある学校づくり」を目指し、「哲学対話」や「演劇ワークショップ」などで教員研修や著名な外部講師を招聘した特色ある学びを実践することができました。さとみんは私にとって、多様な他者との協働で教育活動を行う上で、人と人をつなぐコーディネーターであり学校経営の道筋を示す The pilot(水先案内人)のような方です。


<清野さんコメント>

さとみんとは年1回双葉郡の中高生が一堂に集う夏の一大イベントで、ふたばの教育復興応援団の秋元康さんがプロデュースする著名人による授業を、先生方とともに作り上げ、当日運営しています。

さとみんはとにかくパワフル!常に全力で仕事をしている印象。常にできる限りの最善を尽くそうとする姿勢、うまくいかなかったことをそのままにせず、次はこうしたほうがいいと常に改善しようとする姿勢には刺激を受けました。 著名人が関わる場合のメディアへの対応についても、どんな点に注意すべきか、的確にアドバイスをもらえたので、とても勉強になりました。特に新しいことを始めたい時に頼れます。目的(私たちの仕事では「子どもたちの資質の育成、学び」)を一番に考えつつ、今までのやり方にこだわらない、違った視点で最適と思われるアイデアを提案してくれるので。

株式会社ハッチラボ

「おもしろい!」からはじめよう ハッチに寄り添うコンサルティングラボ

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